ヒーラーの声
生命のある限り最後まで人生を生き抜いてください
病気で苦しむ患者の皆さんへ
No.022/
先々月、アメリカの1人の女性が“脳腫瘍”で余命半年の宣告を受け、安楽死の準備を進めていることをインターネットの動画サイトで公表し話題になりました。動画の中で彼女は、「安楽死という方法があることを知り安堵した。尊厳を持って死ぬことを決意した」と言っています。そして11月1日、女性は予定通り医師から処方された薬物を飲んで死亡しました。その後、「彼女の行為は本当に尊厳死といえるのか?」という議論が世界中で巻き起こりました。この出来事を通じて多くの人が、「病気の苦しみから逃れるために死を選択することは、果たして許されるのか?」ということを考えるようになりました。
来る日も来る日も病気の痛みで苦しむのは、どんなにたいへんなことでしょうか。その辛さは、本人でなければ到底分かりません。病気が治る可能性が無い中で苦しみ続けるとするなら、生きていく希望を失い、無気力になったとしても当然です。この女性のように“尊厳死”を選択した気持ちも理解できます。しかし霊的な視点に立って考えると、結論は全く違ってきます。
人間は永遠に「霊」として存在し続け、永遠に成長していくように宿命づけられています。神がそのように摂理を造られました。病気には、神の摂理に反する行為によって生じた「カルマ」が関係しています。そのカルマを解消するために病気が発生し、肉体的・精神的な苦痛を味わうことを余儀なくされるようになります。実は苦しんでいる本人も魂の深いところでは、自分が霊的成長をしていくためには病苦の体験が必要だということを承知しているのです。
病苦を含め苦しみの多い人生は、霊的宝を手にするための尊い歩みです。苦難の人生を歩み通した後に、霊界では本当の安堵感・達成感・幸福感に包まれるようになります。それは地上人生を生き抜いたことに対する、神からのご褒美と言えます。私は、スピリチュアリズムに導かれたお蔭で、こうした霊的背景まで分かるようになり、「人の命の尊さ・重さ」を深く実感できるようになりました。
病気によって辛い人生を送ることは、霊的視点からみると大きな意義があります。そのため私たちヒーラーは、病気で苦しむ患者さんに対して同情すると同時に、どんなに苦しみが大きくても、生命ある限り最後まで生き抜いてほしいと願います。病気の辛さは“死”とともにすべて消滅してしまいます。霊界では肉体の苦しみから完全に解放されるようになります。
私たちヒーラーは――「どうか、この方に苦しみに耐える力を与えてください」と背後の霊医に祈りながらヒーリングにあたります。時折、ヒーリングを受けた患者さんのご家族から、「本人は病気の痛みが軽減し、心安らかに死を迎えました」という知らせが届くことがあります。それを聞いたとき、一人の患者さんが苦難に耐え、地上人生を歩み通して霊界に戻られたことを知ってホッとした気持ちになります。
これからも私たちは、患者さんに「苦しみに耐えて天寿を全うしていただきたい」という一心で、ヒーリングに携わってまいります。
(中谷)