ヒーラーの声

終活に必要なのは「死と死後の世界」についての知識

No.020

私は、昨年96歳で亡くなった田舎の祖母と、よく手紙のやり取りをしていました。手紙を書くようになったのは、寝たきりになった祖母と電話で話をしているとき「死ぬのが怖い」という言葉を聞き、矢も楯もたまらなくなったからです。当時、祖母は心筋梗塞を患っていましたので、痛みや辛さで混乱してそう言ったのかもしれませんが、朝夕、神仏に手を合わせていた祖母の言葉とはとても思えませんでした。

元来、健康で働き者の祖母も、90歳を過ぎると少しずつ弱り始め、足の骨折や心筋梗塞による心臓の手術で入退院を繰り返すようになっていました。次第に寝たきりになり、言葉も不自由になっていきましたが、最後まで身の回りの整理(今流行の“終活”)を家族に指示するほど、頭はしっかりしていました。

私が祖母と、手紙や電話で交流していたのは、最晩年の2年間です。コツコツと“終活”を進める一方で、“死の恐怖”を拭い去れない祖母の矛盾した心境を思うと、何かせずにはいられなかったのです。死期が近づいたら“死に支度”をするのは、古くから行われてきたことですが、それと「死と死後の世界」についての知識を得て、安心してその時を迎えることは全く別なのだと、祖母との交流を通して深く実感しました。

ここ数年、“終活”という言葉をよく聞くようになり、新聞やテレビでも特集を組んだりしています。あとに残された家族が困らないようにしておきたいという気持ちから、遺言の作成や遺産の分与・葬儀の形式・墓のこと等々、積極的に考える方が増えているようです。しかし、世間一般でいう“終活”は万全であったとしても、「死と死後の世界」のことを何も知らなかったなら、死を迎える準備ができたとは言えないのではないでしょうか。

シルバーバーチは――「死に際して、地上の人間が正しい知識を持ち合わせないために、霊界の人々を煩わせているケースが多い」と述べています。重要なのは「死と死後の世界」についての正しい知識を持っていることです。

私は、祖母が「死ぬのが怖い」と言った時、とても哀れに思いました。身辺整理をするぐらいですから、当然、自分の死期が近いことは自覚していたはずですが、肝心の「死」についての正しい知識は持っていませんでした。こんなに哀れなことはありません。と言っても、知識を無理やり押し付けることはできません。手紙でも電話でも、死は怖くないこと、死ねば肉体の病気はなくなってしまうことなどを伝えたつもりですが、祖母の心境に変化があったかどうかは、とうとう分かりませんでした。

歯がゆさはありましたが、祈るしかありませんでした。何度も繰り返し伝えていたので、きっと今頃は、老化と病気で不自由だった肉体を脱ぎ捨て、「なぜ、あんなに死ぬのを怖がっていたんだろう。死後の世界は本当に素晴らしい!」と、驚き喜んでいるものと思います。

地上人生を歩んでいる間に、死や死後の世界のことをじっくりと学ぶことができるのは、本当に大きな恵みです。私は、スピリチュアリズムを通して「人間は死後、肉体を脱ぎ捨てて霊となって霊界で生き続けること」「その霊界は、とても素晴らしい世界であること」を知り、死に対する考え方が180度変わりました。

人間は必ず「死」に直面します。だからこそ「死とは何か? いずれ自分が赴くことになる死後の世界とはどのような所なのか?」――こうしたことについて、ぜひ知っておいてほしいと思っています。それが本当の“終活”だと考えるからです。

私たちは、「死後の世界は本当に素晴らしい世界である」ということに気づいていただきたいと願いながら、ヒーリングの奉仕に携わっています。霊界の素晴らしさを伝えることも、私たちヒーラーの使命であると思っています。

(中谷)