ヒーラーの声

ライチョウとの出会いから実感した「神の利他愛の摂理」

No.021

私たちは、健康維持とリフレッシュを兼ねて、定期的に登山をしています。そんな登山の楽しみの一つが、高山にしか生息していない動物に出会えることです。なかでもライチョウに出会えた時は本当にうれしくて、へとへとになって登ってきた辛さもどこかへ飛んでいってしまいます。先日登った“立山”では、5羽のライチョウを間近で見ることができ、大感激でした。

ライチョウは日本では古来“神の使者”として信仰の対象にもなってきました。西洋文化が流入した明治期に一時乱獲され、急激に数が減り、今では絶滅が危惧されている天然記念物の鳥です。ハイマツの茂る高山帯に生息し、夏は褐色、冬は純白と季節によって羽の色が変わります。

先日、テレビでライチョウ博士として有名な中村浩志さんが、「ヨーロッパのライチョウは人間を警戒して近づかないが、日本のライチョウは人間を怖がらない」という話をしていました。ヨーロッパではライチョウを狩猟の対象としているので、決して人間に近づかないのだそうです。確かに私たちの前に出てきたライチョウは、わずか1メートルの距離まで近づいても逃げませんでした。私たちが静かに眺めてさえいれば、怖がることもなく、しばらくその場でかわいらしい姿を見せてくれていました。

そんなライチョウを見ていて、私はシルバーバーチの次の言葉を思い出しました。「人類が進化して動物に対する残忍な行為が少なくなるにつれて、それが動物界の進化に反映していくということです。」

ライチョウを狩猟の対象として殺そうとすれば、恐怖を感じて人間から遠ざかるのは当然でしょう。反対に愛情をもって優しく見守れば、決して逃げるようなことはない……それは他の動物でも同じです。飼い主から一片の愛情も与えられず虐待されている犬は、人間を見ると吠えまくり、哀れなほどに怯えきった痛々しい顔をしています。反対に、飼い主の愛情をたっぷりもらっている犬は、穏やかで落ち着いていて人間を怖がりません。どんな動物でも同じです。人間の接し方いかんで、動物の進化が変わっていくということがよく分かります。本当にシルバーバーチの言葉通りです。

目の前まで出てきて愛らしい姿を見せてくれたライチョウとの出会いを通して、私たち人間には「動物の進化」に対して大きな責任があるということを改めて感じました。

(若山)