ヒーラーの声

グループの大ベテラン“アイロンヒーラー”

No.052

私たちのヒーラーグループには、現在16名のヒーラーがいます。全員、スピリチュアリズム歴25年から36年の信仰者で、その中には何と81歳のⅯさんがいます。Ⅿさんは、私たちが尊敬する大ベテランのヒーラーであり、マスコットのような存在です。

Ⅿさんは、身長140㎝そこそこの小さな体ですが、脚力はなかなかのもの。自動車免許を返納してからは、自転車を足代わりにしてどこへでも出かけます。最近になって登山は控えるようになりましたが、ほんの数年前までは、みんなと一緒に3000メートル級のアルプスの山々にも登っていました。山で会う人たちは、小さなお婆さんのパワフルな姿に驚嘆の声を上げていました。

Ⅿさんは世の中の出来事にも関心が深く、毎日、新聞を裸眼で読んでいるとのこと。Ⅿさんよりはるかに若い私が老眼鏡をかけているのとは対照的です。

Ⅿさんは今でも、現役のヒーラーとして、グループの奉仕活動の一つ“病院ボランティア”に携わっています。先日、Ⅿさんと一緒に病院ボランティアをしたときのおもしろい出来事をお話しします。

病院ボランティアでは、ヒーリングを始める前に、患者さんの名前や病名などを伺います。その日、Mさんが初めにヒーリングをしたのは、胃潰瘍で入院していた60代の女性です。Ⅿさんが女性の体にそっと手を当てると、その瞬間、女性は「熱い!」と叫びました。私はすぐ横でヒーリングをしていたのですが、あまりの大きな声にびっくり。何があったのかと、思わずⅯさんと女性の方を振り向きました。

Ⅿさんは彼女に「そうですか? 霊医から送られてくるエネルギーのせいだと思いますよ」と言い、平然とヒーリングを続けていました。

Ⅿさんによれば、これまでにも患者さんから、「ヒーラーさんの手はアイロンみたい」と言われることがあったそうです。さすがに、「熱い!」と叫んだのは初めてのことで驚いた、と言って笑っていました。これぞまさしく“アイロンヒーラー”です。そのことがあってから、私たちはⅯさんのことを“アイロンヒーラー”と呼ぶことにしました。

実は、当日のMさんは病院に来るまでの電車内の冷房ですっかり体が冷えてしまい、患者さんが待っている部屋に入る直前まで「寒い、寒い」と言ってブルブル震えていました。私は、Ⅿさんの顔色が悪く震えがおさまらないのを見て、「今日はヒーリングができるかしら?」と心配していました。ところが、いざヒーリングを始めると、Ⅿさんの体は急に温まり、手はアイロンのように熱を帯びたのです。

スピリット・ヒーリングに携わっていると、似たようなことがしばしば起こります。今回は、治療エネルギーが集中して働いたために、患者さんには“強烈な熱さ”として感じられたのです。この出来事を通して「スピリット・ヒーリングは、ヒーラーの年齢や体力・体調に関係なくなされるもの」であることを再確認しました。

とかく人は、年をとることを必要以上に心配したり恐れたりします。肉体の老化を感じると、これまでのように働くことはできないのではないかと寂しく思ったります。しかしヒーリングの奉仕は、年齢とも体力とも無関係です。年老いても、心がけひとつで霊界の道具となることができます。私たちヒーラーに求められるのは、常に「霊界の高級霊(霊医)の道具」としての役目を果たすことだけなのです。

Ⅿさんは、ヒーラーグループの中で最も信仰歴の長い方です。神と霊界を信頼し、迷うことなくスピリチュアリストとして今日まで歩んでこられました。「若い人たちには負けられない」と言って自ら真剣に学び、喜んで皆と一緒に奉仕に汗を流しています。81歳の今も、「もっと良い道具になりたい!」という向上心を持ち続けています。

Ⅿさんは私にとって、信仰者のお手本です。私はⅯさんの小さな背中に、信仰者としてのあるべき姿を見せてもらってきました。Ⅿさんは「年をとればとるほど人の役に立ちたいという思いが強くなる」とおっしゃり、ヒーリング以外の奉仕にも精を出しています。

私は、スピリチュアリズムの信仰者・霊医の道具として最前線を歩み続けるⅯさんを見習い、常に高みを目指していきたいと思っています。そしてⅯさんのように、ヒーラーグループのマスコット――お婆さんヒーラー”になりたいと願っています。

(中谷)