ヒーラーの声
健常者も障害者も“神の分霊”を宿した霊的成長の道を歩む霊的家族の一員です
津久井やまゆり園殺傷事件から1年を経て
No.067/
神奈川県の障害者施設で起こった事件から1年経った7月、障害者施設の取り組み、障害者に対する加害者の言葉などが、新聞やテレビで頻繁に取り上げられていました。ある新聞に、事件でお兄さんを失った方の記事が掲載されていました。
見出しには「私の家族、価値がある」とあり、それは今でも「障害者には生きる価値がない」と言っている加害者へ向けたものだとすぐにわかりました。加害者はお兄さんの命を奪っただけでなく、妹さんの心も深く傷つけました。妹さんにとって、障害を持ったお兄さんは、大切な家族だったのです。
この1年、妹さんだけでなく親御さん、そして日本中の障害のある方のご家族も、加害者の言葉が常に頭を離れなかったのではないかと思います。私にも障害を持った子供がいますので、妹さんの気持ちが痛いほど伝わってきました。
事件の後、「障害者には価値がない」という考えは極端だとか間違っているという意見を見聞きしましたが、残念なことに、世の中には「障害者には価値がない」とする風潮があります。出生前診断などは、それをよく表しているのではないでしょうか。そもそも、すべての生命は神のものです。それを、人間の勝手な都合で絶つことは許されません。胎児がダウン症の確率が高い場合も例外ではありません。スピリチュアリズムでは、胎児がダウン症だから中絶するなどということは、明らかに間違った行為になります。
気がついていないだけで、ほとんどの人が、障害を忌まわしいもの、価値がないもの、先々に心配の絶えない苦労の種だと考えています。世の中には、「お金や物をたくさん持っている人が幸せで、その幸せを求め続けるのが価値ある人生」という価値観が浸透しています。
妹さんは、そのことに気づいていて、「私の家族、価値がある」と言っているのです。果たして、彼女の心の叫びを受け止め慰めることができる人が、どれだけいるでしょうか。
記事になった妹さんをはじめ、ほとんどの親御さんや家族にとって、障害を持っている子供は喜びであり、感謝そのものといえるほどの存在です。確かに障害のある子どもを授かった当初は、思い描いていた子育てとあまりにもかけ離れた現実に直面し、自分を責めたり、思い悩んだりします。しかしありがたいことに、そのような苦しい毎日にも光が差し込みます。どんなに障害が重くても、少しずつ成長しているわが子を見ると、注いだ愛情の何倍もの喜びが返ってくるのです。いつの間にか、ほとんどの親は、障害のある子供を授かったことに感謝し、障害を不幸と考える価値観から卒業していくようです。
障害のある子供を育てるのは苦労の連続ですが、その苦労のおかげで心が深まり、喜びと感謝を抱くようになるのだと思います。親や家族は、「障害のある子供とめぐり合えて幸せ、よかった」とさえ思うのですが、周りの人にそう言っても、ただの強がりだと同情されるだけで分かってもらえません。どうして幸せと感じるのか、うまく説明できないのです。
霊的真理に照らしてみると、障害者の人生も、その親の人生も霊的成長するためのありがたいものと言えます。障害は肉体がある地上生活中だけのことです。死後は知的障害も身体障害も精神障害もありません。私はスピリチュアリズムに出会い、自分も障害のある息子も神から分霊を付与された霊的存在であることや、霊的成長という最高の幸せに向かって生きていることを知り、希望と勇気を手にしました。永遠に生き続けるなら、この地上人生なんて、ほんの一時のものと考えることができました。子供がカルマを償って霊的成長の道をリセットしようとしているのを、親として全力で支えて応援していこうと決意できたのです。
一人一人は“神の分霊”を宿しています。たとえ障害があっても同じです。障害があるから生まれない方がいいということはありません。生きる価値がない人間などいないのです。
この数十年で、障害のある子供を抱える親の意識はずいぶん変わってきました。子供を授かったことを感謝する人、世の中の偏見に対しておかしいと声を上げる人も出てきました。しかし、障害のある子供も、それを見守る親も「霊的成長」という幸福を手にするために地上人生を歩んでいることまでは知りません。もし霊的真理を知ることができたら、障害があっても、自分たちの人生には価値があると、胸を張って言えるようになります。人間は皆、霊的存在であり、霊的成長の道を歩むようになっていると分かったら、晴れ晴れたとした気持ちで生きていくことができます。地上人生を過ごす間にはさまざまな困難と遭遇するでしょうが、霊的な視野で物事を見ることができれば、強い気持ちで乗り越えることができます。ぜひ、そうあって欲しいのです。
人間にとって霊的成長ほど大きな喜びはありません。その霊的成長をするために、地上で苦難を味わうようになっています。苦難は人を成長させてくれます。苦しみをありがたいものとして、毎日を感謝して過ごしていきましょう。
苦しみ・困難を抱えているのは、生まれつき障害のある方やその家族だけではありません。病気の方、中途障害の方、認知症の方の家族など……。そのような方たちに、ぜひ霊的真理を知ってもらいたいと思っています。そして、地上人生を霊的視野で眺め、永遠に通じる霊的希望を持って力強く生き抜いていただきたいと願っています。
(中谷)