ヒーラーの声

困るほどお金があるなら、なぜそれを人助けに使わないの?

No.066

たまたま食事で訪れたファミレスでのことです。私の隣りの席に70歳前後の喪服を着た女性たち4~5人が集まり、話に花を咲かせていました。おそらく近くのセレモニーホールで行われた葬儀に出席した帰りだったのでしょう。彼女たちの話が自然に耳に入ってきました。孫の話や家族の話、そして趣味の話など、たわいのない話題で盛り上がっていました。

そんな中、こんな言葉が聞こえてきました。「毎月、毎月、年金をもらっても、何に使っていいのか困っちゃう」「孫にあげても、余っちゃって……」「こんなにもらってもねえ……」―― 彼女たちは、受け取る年金が多すぎて困っていると言っているのです。

私は思わず、心の中で叫んでしまいました。「そんなにお金があるなら、なぜそれを困っている人にあげないの?」「人助けのために使わないのなら、私にください! 全部、スピリチュアリズム普及のために使いますから」と。

彼女たちには家もあり、それなりに貯蓄もあって、恵まれた生活を送っているようです。現在は、子供の貧困やワーキングプアが社会問題になっています。そうした生活苦に喘ぐ人々が彼女たちの言葉を聞いたら、どんな思いがするでしょうか。

先日、新聞におもしろい記事が載っていました。それは、4年連続で世界長者番付1位になったマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏についての記事です。「推定資産860億ドル(日本円に換算して約9兆8900億円)のビル・ゲイツ氏が、仮にあと40年生きるとして、1日にいくら使えるのか」というものです。

答えはなんと、6億8千万円。毎日、毎日、6億8千万円という巨額のお金を使わないと、死ぬまでに使い切れません。「くる日もくる日も贅沢な暮らしをして、結果的に健康を損なって早死にするに違いない……」と、記事は結んでいます。

確かに、贅沢三昧を続けていれば、病気にもなるでしょう。いくらお金があっても病気になってしまえば、やりたいこともできません。

ビル・ゲイツ氏は、慈善事業を積極的に行っています。財団を立ち上げ、「全財産の9割以上を寄付する」と言っています。しかし、それを実行したとしても、家族旅行で1週間5億円の豪華クルーザーをチャーターして楽しんでいるようでは、慈善事業にいくらお金をつぎ込んでも、さほど立派だとは思えません。

自分は贅沢な生活をし、あまったお金を投じるだけの慈善事業は、ただの売名行為です。“貧者の一灯”に比べたなら、何の価値もありません。ビル・ゲイツ氏は、世界一のお金持ちでありながら、本当の喜びを知らないまま、一生を終えるかもしれません。

この記事を読んで私は、聖書の中の“金持ちの青年”の話を思いだしました。ありあまる財産を持っていたために、それを捨てられず、イエスに従うことができなかった青年の話です。

(小川)