ヒーラーの声

サタンなど本当はいないのに!

宗教による“洗脳”は地上の悲劇

No.074

先日、チャイムが鳴ったので玄関のドアを開けると、そこに年配の男性と高校生ぐらいの若者が立っていました。2人が“ものみの塔”の信者で、訪問伝道に来たことが分かりました。青年はニコニコしながらカバンから冊子を取り出し、「読んでみませんか」と丁寧に話し出しました。

私は、ものみの塔の方に対してはいつも、「霊界からもたらされた霊的真理を指針としていますので……」と答えることにしています。そう言うと、たいていの方は「そうですか」と言って帰っていきます。その時も同じように答えると、青年は急に体をワナワナと震わせ、大きな声で「サタンだ!」と叫び出しました。そばにいた年配の男性はあわてて青年の腕を引き、急いで帰っていきました。

キリスト教では、神に敵対する“サタン”がいて、人類を悪なる方向に向かわせていると教えています。ものみの塔でも同じく、サタンの存在を教えています。それにしても、訪問伝道で初対面の人に向かって「サタンだ!」と叫んだのには驚きました。

スピリチュアリズムでは、“サタン”は人間の霊的無知がつくり出した想像の産物で、実際にはいないことを明らかにしています。聖書で述べられているような堕天使は、霊界には存在しません。

私は、間違った教義によって、事実でないものを何の疑いもなく信じ込んでいる青年の姿を目の当たりにして、宗教による“洗脳”の恐ろしさを実感しました。洗脳によって間違った教えを植え付けられてしまうと、それだけが真実であると考えるようになります。いったん“魂”にまで染みついた教えは、間違いに気がつくまでに長い時間がかかります。霊界に行ってから、その間違いに気がつくような場合もあります。ものみの塔の信者の多くが、霊界で“地縛霊”として過ごすことになります。

伝道に来たあの青年も、「サタンはいる」と思い込んだまま今後の人生を送ることになるかもしれません。自由に、伸びやかに思考をめぐらすことなく生きていくことになるでしょう。せっかくの地上人生において、霊的成長をするどころか、大きなカルマをつくり出してしまいます。私は、サタンを信じ込んでいるあの青年のことが、今も頭から離れません。思い出すたびに、可哀想でいたたまれない気持ちになります。

シルバーバーチは――「宗教の間違った教義による洗脳は、地上の悲劇の一つです」と言っています。地上世界には、ものみの塔以外にもサタンの存在を認めている宗教が数多くあります。真実でないことを信じて地上人生を送っている人がたくさんいる、ということです。私は今回、青年にサタン呼ばわりされて、地上の悲劇の深刻さを痛感しました。

幸い、私はスピリチュアリズムに導かれて「霊的真理」を手にしました。神・摂理・霊界(死後の世界)など真実の霊的知識は、私にとって希望の光です。真理を手にして以来、私の人生はよけいなものをそぎ落とし、ひたすら霊的成長を意識する前向きな人生に変わりました。それはすべて神と霊界の導きのおかげだと、ことあるごとに感謝で胸がいっぱいになります。

しかし、世の中にはあの青年のように大切な人生を無駄に過ごしている人が多くいることを考えると、もっともっと真理の普及に励まなければと、焦るような思いに駆られます。一人でも多くの人がスピリチュアリズムに導かれ、正しい知識を持って人生を送ることができるようになって欲しいと、願わずにはいられません。宗教の間違った教えに縛られて地上人生を無駄に過ごしてしまうのは、とても残念なことです。私は、そうした人をなくすために「人生のすべてを真理普及に捧げたい!」と決意を新たにしています。

(中谷)