(5)スピリチュアル・ヒーラーになるためのヒーリング能力について

これまでの内容を通して、スピリチュアル・ヒーラーにとって何が一番重要であるかが明確になりました。スピリチュアル・ヒーラーにとって最も大切なものは――「無私無欲の奉仕精神」と「謙虚な道具意識」と「崇高な使命感」です。これらがないかぎり、本物のヒーラーになることはできません。そのヒーラーが本物であるかニセモノであるかは、この3つの精神の有無によって決定されます。こうした優れた精神性を持っていないヒーラーは、必然的に金儲けや人気取りといったこの世の富の追求に奔走することになってしまいます。

世の中には、自らの人生を恵まれない人々の救済と人類の幸福のために捧げている「深い利他愛」を持った人間がいます。では、こうした純粋な奉仕精神の持ち主なら、誰でもスピリチュアル・ヒーラーになれるのでしょうか。答えを言えば、残念ながらそうした優れた精神を持った人間であっても、ヒーラーになれるとは限りません。無私無欲の純粋な奉仕精神は、本物のスピリチュアル・ヒーラーになるための不可欠な条件ですが、それがあるからといって必ずヒーラーになれるというものではないのです。

ここではスピリチュアル・ヒーラーになるための「ヒーリング能力(霊能力)」とは、どのようなものなのか、その能力をマスターするには、何をしたらよいのかを学んでいきます。

ヒーリング能力は一種の霊能力、ヒーラーは一種の霊能者

「霊能者」と一般人を区別するのは、「霊能力」と呼ばれる特殊な能力の有無です。霊能力を持った人間が霊能者ということになりますが、実は「ヒーリング能力」は、この霊能力の一種なのです。したがってスピリチュアル・ヒーラーは、一種の霊能者ということになります。

スピリチュアル・ヒーラーになるためには、「ヒーリング能力」という霊能力が必要となります。ヒーリング能力がないかぎり、ヒーラーにはなれません。スピリチュアル・ヒーラーとは、「ヒーリング能力」という霊能力を持った霊能者のことなのです。

人間は皆、潜在的霊能者

多くの人々が霊能力に神秘性を感じ、一度は「自分もそうした能力を持ってみたい」と考えるものです。では、努力しだいで誰もが霊能力を身につけ、霊能者になることができるのでしょうか。あるいは霊能力は生まれつきの才能・天与の才であって、凡人がどれほど努力をしても身につけることはできないものなのでしょうか。霊能力を持っている人、すなわち「霊能者」には、何か特別な霊的背景があるのでしょうか。

一般の人々は、霊能力は特別な人間だけが持っている特殊な能力であると思っています。そのため霊能力を持っている「霊能者」を、一般人とは異なる特別な人間・超人のように見なします。しかし重大な結論を言えば、人間は皆、「潜在的な霊能者である」ということです。霊能力は、地上人の誰もが潜在させています。その潜在能力をたまたま顕在化・表面化させた人間が霊能者ということなのです。霊能者と一般人の違いは、人間として誰もが所有している潜在能力を表面化させているかどうかという点だけなのです。

では、その“潜在能力”とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。潜在能力とは、一般的に言われる「霊能力・超能力」に他なりませんが、それは人間の「霊的身体(霊体)に備わっている能力」のことです。地上の人間は皆、肉体の五感を持ち、それ以外にもさまざまな肉体の能力(運動能力など)を携えています。それと同じで人間の霊的身体(霊体)にも、さまざまな知覚能力や運動能力が備わっています。ヒーラーが有する「ヒーリング能力」も、霊体に存在する霊能力の一種なのです。

ヒーリング能力は、生まれつきの特殊な霊的体質によるもの

ヒーラーや霊能者になれるかどうかは、地上に誕生した時点ですでに決まっています。すなわちヒーリング能力(霊能力)は、ある意味で先天的な能力なのです。霊能者としての人生を歩むことが予定されている人間には、生まれつきそれに相応しい身体的な条件が与えられています。それが特殊な「霊的体質」です。

ヒーラーや霊能者になるかどうかは、生まれる前から決まっています。地上で霊能者として歩むようになる人間は、そうした運命が定められているということです。では、ヒーラーや霊能者としての歩みは、地上人生のいつから始まるようになるのでしょうか。「ヒーリング能力」が発現したときがヒーラーとしての出発点になりますが、ヒーラーとしての素質を持った人間は、地上人生のある時期に、自然発生的にヒーリング能力が現れるようになります。また、人生上のある出来事苦しい体験や突然の事故など)が呼び水となって、霊能力が表面化するようになることもあります。さらには霊的指導者との出会いによって、ヒーリング能力を開花させるチャンスが訪れることもあります。

ヒーラーや霊能者としての素質を持った者が、幼少時から霊能力を発揮するようになるというケースはあまりありません。その後の成長の過程で、何らかの出来事をきっかけとして霊能力が発現するようになるのが普通です。それまでは本人自身も、自分に霊能力があるとは思っていませんし、時には霊能者を毛嫌いするような場合もあります。

しかし、ヒーラーとしての道が予定されている人間には、本人の好き嫌いのレベルを超えてヒーラーとしての人生が展開するようになります。無自覚のうちに押し出されて、ヒーラーとしての道を歩み出すようになるのです。