(4)本物のスピリット・ヒーラーになるための日々の内面的努力(霊的修行)
絶え間ない霊主肉従の努力と、道具意識の徹底
霊界の道具であるスピリット・ヒーラーになるためには、日々の内面的な努力が欠かせません。それは具体的には、絶え間ない「霊主肉従の努力」と「道具意識の徹底」のことです。霊主肉従の努力と道具意識の徹底は、本物のスピリット・ヒーラーになるための不可欠な条件であり、日常生活における霊的修行に他なりません。
ここではそうしたヒーラーにとっての“霊的修行”について学んでいきます。
ヒーラーは常に、ストイックな「霊主肉従の生活」を心がける
本物のスピリット・ヒーラーになるためには、常に心身を清らかに保ち、霊的エネルギー(治療エネルギー)の通過体にふさわしい状態を維持することが必要となります。「霊的自己コントロールの闘い」、すなわち「霊主肉従の努力」が欠かせません。それはスピリット・ヒーラーになるために一時的に要求される条件ではなく、地上人生を終えるまで、ずっと続けていかなければならない“霊的修行”なのです。ヒーラーは常に自己コントロールを心がけ、霊的成長の道を歩んでいかなければなりません。
ヒーラーや霊能者には絶えず物欲や本能的快楽の誘惑が付きまとい、簡単に「肉主霊従」の状態に陥ってしまいます。いつの間にか我欲の虜(とりこ)となり、“低級霊”の支配下に入ってしまうようになります。他人には霊的真理を語り、愛の大切さを強調しながら、自分は“低級霊”の手先に成り下がっているヒーラーや霊能者が大勢います。ヒーラーや霊能者には絶え間ない「霊主肉従の努力」が求められますが、それを忘れて金儲けに夢中になっていると、必ず低級霊に支配されるようになってしまいます。
ヒーラーにはまず、質素で清潔な生活を心がけることが要求されます。金儲けに走らないことは言うまでもなく、もし大金を手にしたとしても、ぜいたくな生活に流されないようにしなければなりません。食事に関して言えば、肉食は避け、野菜を中心とした健全な食事を摂るようにします。酒は全く摂らないか、最小限にとどめます。タバコはやめるべきです。衣服も派手なものではなく、質素でシンプルなものにします。たとえお金があっても、高級車を乗り回すようなことは厳に慎まなければなりません。
また、規則正しい生活リズムを心がけ、世の中の人々との無意味な交流は避け、1人の時間をできるだけ多くつくるようにします。1日に1回は必ず瞑想・祈りの時間を設け、霊的世界と深く触れ合うように努めなければなりません。霊的意識を高く保つためには、1人になって静寂の中で神と交わる時を持つことが不可欠なのです。
日常生活と人生の全体が“霊的修行”
こうした「霊主肉従」の日常生活は、本能に任せた気ままな生活を送っている人間には、きわめて窮屈な生き方のように映ります。霊的世界と触れ合う喜びを知らない多くの地上人にとって、自己コントロールを必要とする厳しい生活は、人間性を放棄した不自由な生き方のように思われることでしょう。
しかし「霊主肉従の努力」は、霊界の道具を目指すヒーラーにとっては、当たり前の実践内容です。絶え間ない霊主肉従の努力とは、日常生活全体を“霊的修行”の時とすることです。優れたヒーラーとは、日々の歩みのすべてを霊的修行と受け止め、霊主肉従の努力を続ける人間のことなのです。ヒーラーの人生は、すべてが霊的修行のプロセスとなっています。禁欲的な生活を送ることは、苦痛ではないどころか真実の霊的喜びをもたらしてくれる素晴らしい生き方なのです。
もし、そうしたストイックで質素な生活にはとても耐えられないという人は、ヒーラーとしての精神的資質に欠けているのであり、ヒーラーになることを諦めなければなりません。
「道具意識」によって決まるヒーラーのレベル
スピリチュアル・ヒーリングは、ヒーラーが自己の利益を得るために行うものではなく、人類の霊的向上・霊的救いのために行うものです。ヒーラーが自らを「霊界の道具」として位置づけするとき、そのヒーリングは人類全体のための奉仕となります。ヒーラーの質は、本人がどれだけ「霊界の道具」に徹しているかによって決定されます。道具意識の徹底度によって、ヒーラーの霊的レベルが決まるのです。
「道具意識」とは、霊界の道具に徹する精神・心がまえのことであり、神が定めた「利他愛の摂理」を実践するための最も優れた霊的手段です。その道具意識の中には、人類のため・他人のために犠牲を買って出るという「犠牲精神」が含まれています。犠牲精神は、霊界の道具としての意識を徹底することによって深められるものです。本物のヒーラーとは、霊界の高級霊と同じように、地球人類のため・他人のために喜んで犠牲を引き受ける人間のことなのです。
「道具意識」を高めることによって、スピリット・ヒーラーにふさわしい人格が養われるようになります。真の謙虚さ・無私無欲の奉仕精神・霊界に対する絶対信頼・穏やかさと明るさ・寛容性・受身性と積極性の調和を備えた素晴らしい人格がつくられるようになるのです。
ヒーラーは、霊界の導きに対して絶対的な信頼を寄せていなければなりません。霊界の道具としてベストを尽くすことが、一番良い結果をもたらすことになります。ヒーラーは常に霊界の導きを信じ、その導きに委ね、ゆったりと歩まなければなりません。「霊界の道具」に徹して歩むことが、その時点におけるベストの結果をもたらすことになるのです。ヒーラーには、「霊界の道具」としてすべてを霊界の導きに委ね、その中で全力を尽くすことが期待されているのです。
「迷わず、ただひたすら心に喜びを抱いて奉仕の精神に徹して仕事をなさることです。そして、あとのことはすべて大霊にお任せすることです。それから先のことは、人間の力の及ぶことではないのです。(中略)あなた方は、所詮、私たちスピリットの道具にすぎません。」
『霊的新時代の到来』(スピリチュアリズム普及会)p.175
人類のための“捨石”になる
ヒーラーは人類全体のために、自分が持っているものを可能なかぎり捧げなければなりません。自分自身は質素な生活に甘んじ、余ったお金や時間やエネルギーを、人類のために積極的に提供しなければなりません。「自分は人類に奉仕するために生まれてきた。自分の一生は人類に貢献するためにある」と自覚し、生活のすべて、人生のすべてをそのために費やすのです。
ヒーラーや霊能者は常に、人類のための“捨石”になることを決意していなければなりません。地球人類の霊的向上・霊的救いのために奉仕することが、スピリット・ヒーラーとしてのライフワークなのです。ヒーラーや霊能者の使命は、単なるボランティア活動の一つとして達成できるものではありません。「大義(人類)のためならば、いつでも生命を捨てることができる」との覚悟を持っていてこそ達成できるものなのです。