ヒーラーの声

他人への嫌悪感が同情心へ

そうだ、すべての人が永遠の霊的存在者なんだ!

No.083

私はスピリチュアリストとして何十年も歩んできましたが、今でも時々、どうしても肌が合わない人と出会います。理屈としては、誰もが神によって愛されている霊的兄弟姉妹であることは知っているのですが、反射的に嫌悪感が湧いてくるのです。

そのたびに、自分は宇宙で霊的に2番目に低い地球に生まれて、霊的成長の途上にあるのだから完璧になれないのは仕方がない、と言い訳をしてきました。そしてあのイエスでさえも、他人に激しい怒りを抱いて暴力行為にまで及んでしまったではないか、と自分を慰めてきました。

私が嫌悪感を抱くのは、傲慢で自己中心的で、他人をけなして得意になっている人です。財産や地位や権力を誇り、自分が一番優れているかのように優越感に浸っている人も好きにはなれません。また他人を平気で攻撃して自己主張をする人にも近づきたくありません。私たちの周りには、こうした人が大勢います。

特に残念なのは、傲慢で自己顕示欲の強い人間がスピリチュアリストの中にも多くいることです。シルバーバーチは――「スピリチュアリズムの敵は、スピリチュアリズムの内部にいる」と述べていますが、まさにこの世の醜さと変わらないのが現実です。これには本当にうんざりします。

そうした私の心に、数年前から変化が生じてきました。それ以前との違いが、はっきりと自覚できるようになりました。嫌な人間を前にすると反射的に嫌悪感が湧いてくるのは同じなのですが、すぐにその思いを払拭できるようになったのです。

以前なら、嫌悪感に続いて批判的な思いが湧いてきましたが、今は批判的な思いではなく“同情心”を持てるようになりました。この変化には、自分でも驚いています。

他人に対して嫌悪感が湧いたとき、私の心には次のような言葉が思い浮かびます。「この人は、人間にとって一番大切な“霊的成長”について何も知らないために傲慢になり、自己顕示欲に駆られているのだ。高い学歴や能力や名声は手にしていても、霊的なことには無知なのだ」――こう思った瞬間に、嫌悪感は同情心に変わります。目の前の傲慢で自己中心的な人間を、霊的な目で眺めることができるようになったのです。

さらに、こんなふうに考えます。「この人も私と同じように“神の分霊”を受けて地球に生まれてきている。地上は一時的な生活の場であって、いずれはすべての人間が霊界で永遠の生活を送るようになる。誰もが永遠の霊的成長の道を歩む宿命のもとで今、地上人生を送っているのだ」――そう考えると、この重大な霊的事実を知らない相手に対して「何と気の毒なことか」との思いが湧いてきます。

特に“シルバーバーチ”と出会いながら世俗的な思いに流され、自己顕示欲や競争意識にとらわれている人を見ると、哀れさが募ります。シルバーバーチは――「真理を知っている者は、知らない者よりも大きな責任を取らされることになる」と述べています。

幸いなことに私は、シルバーバーチによって“嫌悪感”を払拭するコツを身につけることができるようになりました。嫌悪感を持ち続けることなく“同情心”に変えることができるようになりました。徐々にではあっても「霊的真理」にそって心のコントロールができるようになったことは、大きな進歩だと感じています。

シルバーバーチは、「あなたは人を憎むことがありますか?」との質問に対して、「私は人を憎むことができません。神の摂理によってもたらされることになる結果が分かるからです。私にあるのは同情心だけです」と答えています。

いつの間にか私の心にも、シルバーバーチと同じような思いが芽生えてきました。人に対して憎しみを抱くのではなく“気の毒”という同情心を持てる自分になれて良かったと、つくづく思います。

ヒーラーとして、患者さんに対して悪い思いを抱いたことは一度もありませんが、そうでない一般の人々、さらにはスピリチュアリズムに反対し非難する人々に対しても「霊的視点」に立って同情心を持てるようになったことを心から嬉しく思っています。

(中谷)