3)遠隔ヒーリング

遠方にいる患者を治療する不思議なヒーリング

「遠隔ヒーリング」の特色

スピリチュアル・ヒーリングを受けようとするときには普通、患者はヒーラーの所に足を運びます。そしてヒーラーは、目の前の患者に向けて直接、ヒーリングを行います。こうしたごく一般的な治療形式を「直接ヒーリング」と言います。それに対して、ヒーラーが遠く離れた所にいる患者を治療するという珍しいケースが存在します。時には何百キロも離れた所にいる患者や、外国の患者を治療するようなこともあります。これを「遠隔ヒーリング(遠隔治療)」と言います。

一般の人々にとって、遠方にいる患者を治療するというようなことは、常識を超えた出来事に思われます。もし、それで本当に病気が治るとするなら、まさに奇跡以外の何ものでもありません。しかしそうした常識では考えられないようなことが実際に起きるのです。それどころか“スピリチュアリズム”で進められているスピリチュアル・ヒーリングでは、「遠隔ヒーリング」がかなりの割合を占めています。日常的に遠隔ヒーリングが行われていて、大勢の患者が癒されています。遠隔ヒーリングの多さが、スピリチュアリズムにおけるヒーリングの特色と言えます。

聖書の中には、イエスが遠く離れた所にいる患者を癒したという記述が載っています(聖書マタイ8章・5~13節)。これは「心霊法則」を熟知していたイエスが、「遠隔ヒーリング」を行っていたことを示しています。

「遠隔ヒーリング」と「直接ヒーリング」の治療効果の違いは?

大半の人々は、ヒーラーが患者を前にして直接的に治療をする方が効果があるように思います。しかし実際には、直接ヒーリングと遠隔ヒーリングでは治療効果に差はありません。スピリチュアル・ヒーリングの治療効果は、ヒーラーと患者の距離とは無関係なのです。

ヒーリングの治療結果・治療効果は、患者の条件、特に病気の原因となっている「カルマ(神の摂理への違反)」が償われているかどうかによって決定されます。病苦を通して患者のカルマが清算されている場合には、直接ヒーリングでも遠隔ヒーリングでも、病気は奇跡的に完治することになります。一方、カルマが残っているような場合には、どちらのヒーリングを行っても、全く反応がないか、部分的な治癒にとどまります。

「遠隔ヒーリング」のメカニズム

「どうして離れた所にいる患者を治療することができるのか?」――誰もがこうした疑問を持ちます。遠隔ヒーリングを可能にするには、“治療エネルギー”を遠くにいる患者に届けなければなりません。「遠隔ヒーリング」は、ヒーラーから発した治療エネルギーが離れた所にいる患者に届いて病気が癒されるという治療法ですが、そのメカニズムはどのようなものなのでしょうか。

霊界では物質世界とは違った通信手段があり、これによって離れた所にいる霊同士がコミュニケーションを取っています。霊界では相手のことを思うだけで、その瞬間に相手との間に“霊的通路”ができ上がります。そして相手は、通信を送ろうとする霊のことを自然に思い浮かべるようになります。もし、どちらか一方が「コミュニケーションを取りたくない」と思うなら、通路は遮断されます。霊界ではこのようにして相手との間に“霊的通路”が開かれ、それを通して思念・意念・イメージ・感情などが瞬時に届けられるようになっています。これが「テレパシーによるコミュニケーション」「テレパシーによる通信」です。

遠隔ヒーリングは、このテレパシーによる通信と同じメカニズムによって起こされます。まず、ヒーラーが患者に意識を向けることで“霊的通路(霊的パイプ)”が開かれます。そしてその通路を用いて治療エネルギーが患者に届けられます。ヒーラーが患者から治療依頼の連絡を受けて「患者を治療したい」と思うと、その瞬間に“霊的通路”ができ上がるのですもし、ヒーラーが個人的な理由で「相手のヒーリングをしたくない」と思うなら、霊的通路は開かれません。霊的通路は、ヒーラーが治療を承諾した時点ででき上がります)。遠隔ヒーリングにおいて患者に治療エネルギーを届けるメカニズムとは、この“霊的通路(霊的パイプ)”を利用する仕組みのことです。霊的通路は、ハイスピードで治療エネルギーを送るためのレールのようなものなのです。遠隔ヒーリングでは、霊的通路を通じて瞬時に治療エネルギーが患者に届けられ、治療が行われることになります。

霊的通路(霊的パイプ)がつくられるのは、「スピリット・ヒーリング」でも「サイキック・ヒーリング」でも同じです。ヒーラーが患者に意識を向けることによって、霊的通路は瞬時にでき上がります。スピリット・ヒーリングでは、その霊的通路を通して霊医団がつくった「霊エネルギー(スピリット・エネルギー)」が届けられます。サイキック・ヒーリングでは、ヒーラーの「霊体エネルギー(サイキック・エネルギー)」が届けられます。ほとんどのヒーラーは、自分がそうした霊的通路をつくり出している事実を知りませんが、結果的に自分が開いた霊的通路を通じて治療エネルギーを送り、遠隔ヒーリングを行っているのです。

2種類の遠隔ヒーリング

先に治療エネルギーの観点から、スピリチュアル・ヒーリングを3つに分類してきました。その3種類のヒーリングとは――「スピリット・ヒーリング」と「サイキック・ヒーリング」と「マグネティック・ヒーリング」です。

「直接ヒーリング」であれ「遠隔ヒーリング」であれ、治療において用いられるエネルギーによって「スピリット・ヒーリング」になったり「サイキック・ヒーリング」になったりします。霊界の霊たちによってつくられたスピリット・エネルギーが治療エネルギーとして用いられる場合には、その遠隔ヒーリングは「スピリット・ヒーリング」になります。地上のヒーラーの霊体エネルギー(サイキック・エネルギー)が治療エネルギーとして用いられる場合には、「サイキック・ヒーリング」になります。

治療効果としては、言うまでもなく「スピリット・ヒーリング」としての遠隔ヒーリングの方がはるかに優れています。

「遠隔ヒーリング」のメリット

患者にとって「遠隔ヒーリング」ほど、ありがたい治療法はありません。わざわざ遠く離れたヒーラーの所に足を運ばなくてもいいのですから、時間と交通費の節約になります。しかも同じ治療効果が得られるのですから、言うことはありません。このように遠隔ヒーリングは患者にとって、実にメリットのある治療法と言えます。

一方、ヒーラーにとっても「遠隔ヒーリング」は、大きなメリットがあります。遠隔ヒーリングによって、短時間に多くの患者を治療することができます。直接ヒーリングではどうしても、一人一人の患者に10~20分という時間をかけなければなりませんが、遠隔ヒーリングなら、数秒、数分という短時間で治療を終えることができます。その結果、直接ヒーリングの何倍、何十倍もの患者を治療することが可能となるのです。さらには遠隔ヒーリングなら、いつでも治療エネルギーを送ることができるため、ヒーラーにとって都合のいい時間に治療を行うことができるのです。

このように「遠隔ヒーリング」は、物質世界の時間と空間に束縛されない治療法です。霊的世界の特徴をフル活用した、きわめて効率的な治療法なのです。遠隔ヒーリングは、ヒーリングを無償の奉仕活動(利他愛の実践)とする者にとっては、まさに打ってつけの方法です。一方、金儲けを目的としたヒーラーにとっては、高額な治療費を請求するためにいろいろな理由をこじつけなければならない都合の悪い治療法と言えます。

「遠隔ヒーリング」の霊的な意義

「何百キロも離れた所にいる患者が癒される」――こうした常識では考えられないような出来事を通して、患者や家族は霊的世界の様子を垣間見ることになります。多くの場合、ヒーラーが治療を開始すると同時に、患者の身体に変化が生じるようになります。そうした「遠隔ヒーリング」による癒しの現実を目の当たりにして、霊的世界の存在を実感するようになるのです。自分たちが住んでいる物質世界とは違う、時間と空間に制約されない世界があることを認めるようになるのです。

「治療を通して霊的世界に対する関心が湧くようになる」――これこそが、まさに霊界の人々が願っていることです。「遠隔ヒーリング」は、直接ヒーリングよりも神秘性が大きい分だけ、霊的なものへの関心を喚起することができるのです。

すでに何度も述べてきましたが、スピリチュアル・ヒーリングを進める霊界の霊たちは、肉体の病気が治ることよりも、地上人の「霊的覚醒」を何よりも願っています。たとえ病気が治っても「霊的覚醒」がもたらされなければ、そのヒーリングは失敗と見なされます。反対に病気は完治しなくても「霊的覚醒」がもたらされるなら、そのヒーリングは成功ということになります。遠隔ヒーリングの目的は、他のスピリット・ヒーリングと同様、病気の癒しよりも地上人の「霊的覚醒・魂の救い」にあるのです。