(1)スピリチュアル・ヒーリングの定義と、スピリチュアル・ヒーリングをめぐる状況

スピリチュアル・ヒーリングの定義

心霊的な力・エネルギーを用いた治療法

「スピリチュアル・ヒーリング」とは文字どおり、スピリチュアル(霊的・精神的)な力やエネルギーを用いた治療法のことで、一般には「心霊治療」と呼ばれています。霊的な力やエネルギー、精神的(心的)な力やエネルギーは目に見えないため、人々はスピリチュアル・ヒーリングを“神秘的な治療法・不思議な治療法”と考えます。

こうした神秘的で不思議な治療法は、太古から存在してきました。そして実際に、多くの人々の病気を癒してきました。現在においてもスピリチュアル・ヒーリングは、世界の至る所で行われています。

伝統宗教と科学から否定されてきたスピリチュアル・ヒーリング

キリスト教に代表される世界宗教が勃興し、支配力と版図を拡大する中で、霊的な力やエネルギーを用いた神秘的な治療法は“サタンの業”と見なされるようになりました。そして非難・迫害され、社会の片隅でひっそりと存在し続けることになりました。やがてこうした治療(スピリチュアル・ヒーリング)を行うことは“魔女の証(あかし)”とされ、魔女狩り・魔女裁判といった悲惨な歴史を生み出すことになったのです。

時が過ぎ近代に至ると近代科学が起こり、物質文明が発展するようになりました。それにともないスピリチュアル・ヒーリングは、原始的宗教(アニミズムやシャーマニズム)における“迷信的治療・呪術的医療”の烙印を押されるようになり、軽蔑と非難の対象となって社会の表舞台から追放されることになりました。

スピリチュアル・ヒーリングに最後の期待をかける多くの人々

こうしてスピリチュアル・ヒーリングは社会の表舞台から姿を消すことになりましたが、実際には人間社会の底辺においてその霊的な伝統は脈々と引き継がれ、人々はスピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)を病気治療の拠りどころとしてきました。そしてそうした流れは、現在に至るまで続いています。

現代科学は高度な物質文明を誇り、地球上は“科学至上主義”によって支配されるようになりました。科学を万能視する人々は、スピリチュアル・ヒーリングを軽蔑し、頭から迷信と決め付けます。しかしその一方で、現代医学や民間療法に見放された人々は、最後の拠りどころとしてスピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)に希望を託しています。

再び社会から注目されるようになったスピリチュアル・ヒーリング

スピリチュアル・ヒーリングは近代以降、“迷信”とか“時代遅れの原始信仰(シャーマニズム)的な医術”と揶揄(やゆ)されてきましたが、不思議なことに現在では、再び社会の表舞台に立つようになってきました。その理由として「科学至上主義の限界」と、それを支えてきた「唯物主義の間違い」が明らかにされるようになったということが考えられます。唯物主義の観点からの説明には、現代人はもはや満足できず、物質を超えた神秘的な世界、霊的・精神的な世界の中にもう一度、真実を見いだそうとしています。

科学や医学は心霊的な治療法を徹底して批判し、迷信のレッテルを貼ってきましたが、実際には現代医学では治らなかった病気が、スピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)によって次々と治癒しています。人々はスピリチュアル・ヒーリングによって常識では考えられないような奇跡が起きるのを目の当たりにして、霊的世界の存在に確信を持つようになっています。

そうした状況は、現代医学に携わる医師にとって苦々しい出来事であることは言うまでもありません。しかしスピリチュアル・ヒーリングを迷信と呼ぼうが時代遅れの医療と非難しようが、現代医学や伝統的な民間療法では治らなかった病気がそれによって治癒している現実は、否定できません。理屈は分からなくても、わずかなケースではあっても実際に病気が治っているために、人々はスピリチュアル・ヒーリングにすがるのです。

そうしたことから現在では、日本をはじめとする先進諸国において、再び「スピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)」に注目が集まるようになっています。

いまだ明らかにされていない、スピリチュアル・ヒーリングの真相・実態

これまでスピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)の存在は広く世間に知られてきましたが、その仕組みや実態については現在に至るまで、ほとんど明らかにされてきませんでした。スピリチュアル・ヒーリングに反対する科学者や現代医学の医師も、またスピリチュアル・ヒーリングに絶大な支持を寄せる人々も、さらにはスピリチュアル・ヒーリングに肯定的な科学者や医師も、その真実については全く無知な状況にあります。

スピリチュアル・ヒーリングを悪用した“人騙し”

スピリチュアル・ヒーリングは詐欺の温床

多くの人々にとって「スピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)」は、神秘的で不思議な治療法として映ります。現代医学では治らなかった病気がスピリチュアル・ヒーリングによって治癒する事実を目にすると、奇跡が起きたかのように思います。こうした不思議なケースが数多く存在するため、人々はスピリチュアル・ヒーリングに過大な期待を寄せるようになります。それが時に、ヒーラーを神格化したり、新興宗教の教祖に祭り上げることになってしまいます。

スピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)は確かに現代医学にはない力を持っていますが、決して万能ではありません。スピリチュアル・ヒーリングの真相については、ヒーラー自身も全く分かっていません。そのメカニズムや病気治癒のプロセスについては、ヒーリングに携わっている人間でさえも、無知な状況に置かれているのです。当然、一般の人々が知るはずもなく、そこからさまざまな問題が引き起こされるようになります。

スピリチュアル・ヒーリングにおける最大の問題は、神秘性・不思議を売りにして、病気で苦しむ人々を騙す人間がいるということです。「何としても病気を治したい、病苦から救われたい」と願う人々を騙し、大金を巻き上げるといった悪事が行われているということです。病気で苦しむ人々にとって“奇跡”を売りにするスピリチュアル・ヒーリングは、希望の光・最後の拠りどころとして映ります。

世の中には「どれほどお金がかかってもいいから、病気を治してほしい」と考える人々がいますが、そうした人は、ニセのスピリチュアル・ヒーラーにとっては“絶好のカモ”なのです。ニセのヒーラーや治療師にとってスピリチュアル・ヒーリングは、人々を騙すための実に都合のいい手段であり、きわめて効率的な金儲けの方法です。“騙しの手口”が悟られることのない、詐欺を働くには打ってつけの方法なのです。

残念ながら現在では、こうしたニセのスピリチュアル・ヒーリングが横行しています。ニセのヒーラーや治療師があふれています。スピリチュアル・ヒーラーを名乗る大半の人間が、金儲けを目的とした“ニセモノ”であると言っても過言ではありません。良心的なヒーラーはごくわずかであって、大部分がニセモノなのです。これが現在のスピリチュアル・ヒーリング界における、最大の問題と言えます。

「ニセ・ヒーラーに騙された」といった声が、あちこちから聞こえてきます。スピリチュアル・ヒーリングに対する“時代遅れの原始宗教の名残・迷信”といった批判は今や、「詐欺の温床」「病気に苦しむ人々の弱みに付け込んだあくどい金儲け」といった批判に変わりつつあります。

ニセのヒーラーや治療師に騙されないためには、「本物の知識」が不可欠

ニセモノが横行する現状にあっても、本物は存在します。少数ではあっても「本物のスピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)」は行われており、それによって実際に病気が癒されています。しかし今述べたように、スピリチュアル・ヒーリングを謳う世の中のヒーラーや治療師は、圧倒的にニセモノが多いのです。

ニセモノに騙されないためには、そして本物とニセモノを見抜くためには、スピリチュアル・ヒーリングについての正しい知識を身につけることが不可欠です。詐欺師・ペテン師は、一般の人々よりも遥かに多くの専門的知識を持っています。それを繰り出して言葉巧みに語るため、知識がない人々、特に病気を治したいと切望している人は、簡単に騙されてしまいます。詐欺師の“ウソ”に騙されないためには、詐欺師以上の知識と冷静さが必要です。詐欺師が語るウソを的確に見抜いてこそ、騙されずにすむのです。「本物の知識」だけが、本物とニセモノを判別する力となり、自らを守ることになるのです。

ここでは「スピリチュアル・ヒーリング(心霊的な治療法)」に関する基本的な霊的知識を取り上げ、ポイントをしぼって説明していきます。それによってスピリチュアル・ヒーリングの概要を理解し、本物とニセモノを見分ける判断力を養うことができるようになります。