(1)ヒーリングを希望される方に知っていただきたい内容〈1〉

スピリット・ヒーリングに関する基本的な霊的知識

私たちがボランティア活動として行っている「遠隔ヒーリング」は、きわめて特殊な「スピリット・ヒーリング」です。世の中にはさまざまなスピリチュアル・ヒーリング(精神的な力や霊的エネルギーを用いた治療法)がありますが、「スピリット・ヒーリング」もその中の1つです。

ここでは、スピリット・ヒーリングが特殊な治療法であることを知っていただくために、ポイントを絞って整理していきます。

1)スピリット・ヒーリングの治療の主役は「霊医(スピリット・ドクター)」

スピリット・ヒーリングは一般的なスピリチュアル・ヒーリングと大きく異なります。それは“治療の主役”が地上のヒーラーではなく、霊界にいる霊たちであるということです。治療の主役である霊たちを「霊医(スピリット・ドクター)」と呼びます。「霊医」という霊界における医療の専門家が、私たちヒーラーを助手として用いて治療を進めます。「霊(スピリット)が地上人を治療する」という点で、スピリット・ヒーリングは他にはないきわめて特殊なヒーリングと言えます。

霊医たちは、地上の患者一人一人に合った“治療エネルギー”を開発します。実験所のような所で“治療エネルギー”の調合を繰り返し、それを直接的に、あるいは地上のヒーラーを通じて間接的に患者にもたらします。この意味でスピリット・ヒーリングは、「徹底したオーダーメイドの治療」です。

スピリット・ヒーリングにはこうした特別な霊的背景があるため、地上における「最強のヒーリング」と言えます。実際、一般的なスピリチュアル・ヒーリングと比べると、「治療領域の可能性」においても現実の「治療結果」においても、大きな違いがあります。

2)スピリット・ヒーリングの治療結果は、一人一人で異なる

このように「スピリット・ヒーリング」は地上で最強のヒーリングですが、スピリット・ヒーリングを受ければ、必ず病気が治るというものではありません。それどころか同じヒーラーからスピリット・ヒーリングを受けても、一人一人治療の結果が異なるのが普通です。ある人は長年苦しんできた病気が一瞬にして奇跡的に治癒したかと思えば、ある人は部分的な治癒にとどまったり、人によっては全く治癒が見られないこともあります。それは病気の原因となっている「カルマ」の内容が、それぞれ違っているからです。

スピリット・ヒーリングは、霊医のつくった“治療エネルギー”を患者に与えることで、身体の異常な部分を正常化して病気を治そうとする治療法です。ところが患者に「カルマ」があると、それが治療エネルギーの流入を妨げたり、身体内での流れを制限してしまいます。その結果、同じヒーラーからスピリット・ヒーリングを受けても、治療結果は一人一人異なるのです。

3)病気の原因は、さまざまな「カルマ」

病気の原因である「カルマ」とは、神の摂理に対する違反行為のことです。神は、人間の身体を見事なまでに精妙かつ完璧に造っています。人間の身体の仕組みは、驚異に満ちています。それは人間が、健康で地上生活を送ることを目的として造られているからです。神はそうした驚異的な身体を、さまざまな摂理(法則)によって支配しています。「カルマ」とは、神が定めた「健康維持のための摂理(法則)」に反した行為のことです。

人間は肉体だけの存在ではなく、「霊」と「霊の心(精神)」と2つの身体(「霊体」と「肉体」)という複数の要素から形成されています。各構成要素は、それぞれ異なる「神の摂理」によって支配されています。したがって病気の原因である「カルマ」も、構成要素ごとに別々に発生することになります。その結果、「霊的なカルマ」「精神的なカルマ」「肉体的なカルマ」など、さまざまなカルマが存在することになります。そしてこれらのカルマが身体全体を不調和にし、健康を維持するための機能を阻害し、肉体に異常(病気)を引き起こすことになるのです。特に「前世から持ち越した大きなカルマ」は、生まれつきの病気や障害・不治の病などを引き起こします。

スピリット・ヒーリングの治療結果は、患者サイドのカルマの状態によって決まります。「どの程度までカルマが清算されているか」ということです。カルマの状態によって、同じヒーラーの治療を受けても、完治する患者がいる一方で、部分的な治癒にとどまったり、全く変化が見られない人もいます。こうした意味からすれば――「ヒーラーが病気を癒すのではなく、患者自身が自らの病気を癒す」ということになります。

4)自己努力によるカルマの解消

病気の原因となる「カルマ」には、さまざまな種類があり、その程度も人によって異なります。今の地上人生でつくってしまった肉体次元のカルマなどは、それほど重大な影響は及ぼしません。本人の意欲しだいで、短期間に帳消しにすることができます。それが「セルフヒーリング(自己努力による治療)」です。このようにある程度までなら、自分の努力で病気の原因となっているカルマを解消することができます。精神次元のカルマや肉体次元のカルマが病気の原因となっている場合には、それらを自分の努力で取り除くことによって病気が治癒するようになります。

私たちが患者さんに「自己努力」をお願いするのは、こうした理由があるからです。「自己努力で解消することができるカルマ(病気の原因)は、自分の責任において取り除く」ということです「セルフヒーリング(自己努力による治療)」の具体的な内容については、(3)で説明します)

5)病気は治っても良し、治らなくても良し

多くの人々が、病気を治してもらいたい一心で「スピリット・ヒーリング」に最後の期待をかけます。しかし病気が治るか治らないかは、ヒーラーの力量というよりも、患者自身の「カルマ」によるところが大きいのです。スピリット・ヒーリングが効を奏することなく病気が治らなかったとしても、それはヒーリングの失敗ではありません。

病気とは、そもそも本人が「神の摂理」に反したために発生したものであり、すべて“自己責任”として受け止めなければならないものです。運が悪かったために偶然、発生したものではありません。病気はある意味で神の摂理に反した“罰”であり、同時に苦しみを通してカルマを消滅させ、正しい道に立ち戻るための“救いのプロセス”ともなっています。病気自体が“正常化作用・リセット作用”であり、病気の苦しみによってカルマを解消し、やり直すことができるようになるのです。その意味からすると、病気は“ありがたいもの”と言えます。病苦を体験することがなければ、別の苦しみによってカルマを償っていかなければなりません。

このように考えると、病気になったからといって悲観したり、絶望したりすることはなくなります。それは“死”も同じです。死を迎えたからといって、悲劇でも絶望でもありません。私たちの肉体は、地上生活を送るための道具として与えられたものです。そのため必ず「死ぬこと」が宿命づけられているのです。死によって肉体を脱ぎ捨て、霊界で“新しい人生”を歩み始めるようになるのです。

地上世界は、霊界行きに備えての訓練の場所です。肉体は、地上世界で生きるための道具にすぎません。大半の人々は死後の世界の事実を知らないため、死を恐れ、死別を悲劇と思っていますが、それは大きな錯覚です。重い肉体を脱いで霊界に入った人間は例外なく、自分の死を感謝し喜んでいます。死ぬことは喜びであり、希望なのです。死は、苦しみの多いこの世を生き抜いたことに対するご褒美と言えるのです。

その意味でスピリット・ヒーリングを受けて“死”に至ったとしても、決して失敗ではありません。ヒーリングによって「霊界入りのプロセス(他界のプロセス)」がスムーズに行われるようになっているのです。