(3)スピリット・ヒーリングの「成功と失敗」とは

スピリット・ヒーリングの目的は、肉体の癒しではなく“魂の癒し”

一般の人々にとってヒーリング(治療)の成功とは、肉体の病気が治ること以外の何ものでもありません。「治癒率」に異常に関心を寄せる理由も、そこにあります。肉体の病気を治す・癒すという点から考えたとき、数ある治療法の中でスピリット・ヒーリングは、最強の治療法の一つであることは間違いありません。なぜならスピリット・ヒーリングを受けることによって、身体のいずれかの領域が活性化し、部分的ではあっても癒されるようになるからです。当然、スピリット・ヒーリングと他の代替医療を上手に組み合わせるなら、よりいっそう治療レベルのアップをはかることが可能になります。

しかしここでも、「スピリット・ヒーリング」が他の治療法と根本的に違っている点を知っておく必要があります。それは「治療に対する成功・失敗の判断が180度、異なっている」ということです。スピリット・ヒーリングには“ヒーリング(治療)”という呼称がついていますが、その究極の目的は、肉体の癒し・病気の癒しではありません。スピリット・ヒーリングは“魂の癒し”を目的としています。実はここに、スピリット・ヒーリングの一番の特色があるのです。

スピリット・ヒーリングの成功は、患者の「霊的覚醒」

スピリット・ヒーリングは“治療”という医学的手段を通じて、患者に「霊的覚醒」「霊的意識の目覚め」をもたらすことを最終的な目的としています。スピリット・ヒーリングでは、肉体の異常が正されても、それを本当の救いとは考えません。人間は死後も生命活動を続ける存在である以上、“霊的救い”こそが真の救いであるからです。

“霊的救い”は、患者本人の「霊的覚醒」「霊的意識の目覚め」から始まります。それがもたらされたとき初めて、スピリット・ヒーリングではその治療は“成功”と判断されます。たとえ肉体の病気が奇跡的に治ったとしても、霊的覚醒が生じなければ、その治療は“失敗”と見なされます。患者本人が“奇跡が起きた”と大歓声をあげて喜んでも、それは成功とは言えないのです。

  • 肉体の病気が治る・霊的覚醒(心の変化)なし   → 治療は失敗
  • 肉体の病気に変化なし・霊的覚醒(心の変化)あり → 治療は成功

肉体の病気は治っても良し、治らなくても良し

スピリット・ヒーリングでは、どこまでも人間の“霊的救い”を重要視します。人々が最も願う肉体の癒し・肉体の救いには、ほとんど価値を認めません。極論を言えば、スピリット・ヒーリングでは、「病気は治っても良し、治らなくても良し」ということなのです。カルマを清算して霊的成長の道をリセットするために、わざわざ病気が引き起こされているという事実を考えると、病気が治ることにはそれほど価値はありません。「霊的覚醒」こそが、最も重要なものなのです。

このように治療の究極の目的が、スピリット・ヒーリングと他の治療では根本的に違っています。スピリット・ヒーリングが「治癒率」を全く問題にしないのは、肉体の癒しをさほど重要視していないからです。それとは比較にならないほど価値がある“魂の癒し・霊的救い”をもたらすことを真の目的としているからなのです。

死が、スピリット・ヒーリングの成功となることもある

患者が死を迎えると、一般的には治療や医学の失敗と判断されます。高い治療費を払っていた患者が死ぬと、損をしたように感じる人もいます。大半のスピリチュアル・ヒーリングにおいても患者の死は、治療の失敗と見なされます。しかし「スピリット・ヒーリング」では、死という結果になっても、必ずしも治療の失敗・敗北とは考えません。反対に患者の死を“治療の成功”と見なすことも、よくあります。

それはスピリット・ヒーリングでは、死ぬことを悲劇とはとらえていないからです。それどころか“死”は――「重苦しい肉体から解放されて、本来の住処である霊界へ旅立つ喜びの時」と考えているのです。死は自然現象であって、決して悲劇ではありません。死は神が人間に与えた宿命であり、誰もが死によって霊界に戻ることになるのです。患者との死別を悲しんでいるのは、地上人だけです。他界した本人は、霊界で喜びに満ちあふれた新しい生活を始めているのです。地上の遺族が死別を悲しむのは、霊界での故人の様子が分からないからです。“葬式”とは本来、霊界という素晴らしい世界へ旅立つ人間(肉体の死を迎えた人)を祝福するための儀式なのです。

死に際しては、それまで肉体と霊体を結びつけていた“シルバーコード”という幽質の紐が伸縮しながら徐々に細くなり、切れていきます。この紐が完全に切れた時が“死の瞬間”です。シルバーコードの切断がスムーズに進まず困難がともなうようになると、本人は混乱し、不安と苦痛を味わうことになりますここで言っているのは肉体の苦しみではなく、霊的意識で感じる苦しみのことです。死の間際にある人の顔が苦痛にゆがんでいるように見えても、肉体的な苦しみを感じているわけではありません)

スピリット・ヒーリングは、肉体と霊体が分離する“死のプロセス”をスムーズにします。それによって他界に際しての苦しみが軽減され、死後の世界・喜びの世界に自然な形で移行できるようになります。こうした「死後の世界への移行プロセスに対する援助」もスピリット・ヒーリングの治療効果であり、成功事例と言えます。