(2)スピリチュアル・ヒーリングの病気観

「霊的エネルギー循環システム」から見た“病気の定義”

人間の健康について見てきましたが、その反対の状態である“病気”についても、「霊的エネルギー循環システム」の観点に立てば簡単に説明できます。霊的エネルギーの循環が異常になると、人間を構成する各要素がエネルギー不足・不活性の状態になります。その結果、「神の摂理」に一致できなくなり、全体的にバランスが崩れ、不調和状態に陥ることになります。こうした不自然な状態に置かれると、肉体の健康維持のために神が用意してくれたシステム(生体維持機能)の働きが低下し、肉体に異常が発生するようになるのです。この状態が“病気”です。

病気とは、人間を構成する“5つの要素”が不調和状態に置かれているところから引き起こされるものです。「霊的エネルギー循環システム」の観点から言えば、霊的エネルギーの循環が滞ったり不順になることによって発生するものです。医学関係者を含め現代人の多くは“病気”と言えば肉体の異常だけを問題にしますが、肉体の異常は「人間の構成要素の全体的な不調和」という状態が、結果的に物質(肉体)レベルに現れたものなのです。肉体が病むのは、人間を構成する要素がアンバランスになり、不調和状態・不自然な状態にあるからなのです。

本来なら、肉体に一時的に異常が生じても、霊体から流入する霊的エネルギーが“生命エネルギー”として“自然治癒力”を活性化し、病気は癒されることになります。しかし現代人の多くは、肝心な霊的エネルギーを枯渇させているだけでなく、霊的エネルギーの循環にも異常をきたしています。そのため肉体に十分なエネルギーがもたらされず、「生体維持機能」が正常に働かなくなって病気が発生しているのです。

病気の原因〈1〉

霊的・精神的・肉体的次元のカルマ

次に、病気の原因について詳しく見ていきます。霊的エネルギーの取り入れを妨げ、霊的エネルギーの循環を異常(不順)にするものが病気の原因です。霊的エネルギーの循環障害を引き起こすものが、病気の根本的な原因です。

では、その病気の原因とは具体的に何を指しているのでしょうか。それは「カルマ(摂理違反)」という一言で言い尽くされます。神は、宇宙・霊界を支配するために一定の仕組み(法則)を設けられました。それが「摂理」です。人間は、無数とも言える神の摂理(法則)の支配のもとで生存し、生命活動を維持しています。その中には、私たちの健康を守るための摂理も含まれています。その摂理に反する行為が「カルマ」であり、病気を引き起こす根源なのです。カルマには、さまざまな次元のものがあります。そして大きなカルマから小さなカルマまで、数限りなくあります。

私たち地上人は、霊的次元・精神的次元・肉体的次元の構成要素から成立しています。霊的領域・精神(心)的領域・肉体的領域にまたがって存在しているのが私たち人間であり、それぞれの領域を異なる「摂理(法則)」が支配しています。したがって病気の原因となる「カルマ」には、霊的次元のもの、精神的次元のもの、肉体的次元のものが存在することになります。大きくは「霊的・精神的次元のカルマ」と「肉体(物質)的次元のカルマ」の2つに分けることができます。

「霊的・精神的次元のカルマ」とは、具体的には霊性の未熟さから派生する唯物主義的な考え方や、恐れ・不安・悩み・悲しみ・怒り・絶望といった精神的ストレスのことです。こうしたものを抱えていると、せっかく取り入れた霊的エネルギーが「霊の心」の部分で制約を受けるようになり、霊体や肉体に流れなくなってしまいます。霊の心は「霊的エネルギー循環システム」の中で“ポンプ”のような働きをしているため、ここが活性化しないと全身のエネルギー循環が不順になり、身体全体がエネルギー不足の状態に陥ってしまいます。その結果、肉体に異常が発生するようになるのです。

一方、「肉体(物質)的次元のカルマ」とは、神が与えた「生体維持システム(ホメオスタシス・免疫機能・自然治癒力)」の働きを妨げるようなマイナス条件がこれに当てはまります。具体的には間違った食生活(肉食や油の過剰摂取など)や運動不足、過労、毒物摂取(タバコ・薬物・アルコールetc.)などです。これらは肉体次元の摂理に反しているため、限度を超えると肉体の健康を害するようになります。摂理違反の程度としてはそれほど大きなものではありませんが、「カルマ(摂理違反)」であることには変わりありません。

人間は霊的次元・精神的次元・肉体的次元にわたる存在であるため、病気の原因となるカルマにも「霊的・精神的次元のカルマ」と「肉体的次元のカルマ」が存在することになります。

病気の原因〈2〉

前世でつくり出してしまったカルマ

「カルマ」という摂理違反は、今の地上人生の間につくってしまったものだけではありません。実は、日本を含めて現在の地球上の先進諸国の人間には“前世”での人生があります。前世において「神の摂理」に反する生き方をしてきた者は、それが「カルマ」となって今回の地上人生に持ち越されている可能性があるのです。極端に物欲的・利己的な生き方、他人を非道に扱ったり虐待したりするような行為は「カルマ」を生み出し、再生時には宿命として、そのカルマを償うための人生を歩むことになります。

長期にわたる病気や医学では手に負えない難病、生まれつきの障害などは、「前世のカルマ」を償うために摂理の働きによって発生しています。そうした病気や障害の苦しみを通して前世のカルマを清算し、帳消しにすることによって足止めされていた「霊的成長の道」がリセットされることになるのです。その意味からすれば、カルマゆえに苦しみを味わうことになる人生は“ありがたいもの”と言えますが、ほとんどの人はそれを不幸として捉えます。前世でつくってしまった「大きなカルマ」がある場合には、霊的エネルギーの取り入れ口(魂の窓)に制限が加えられて、肉体次元に病気が発生するようになります。

こうした「大きなカルマ」によって生じた病気は、カルマを清算するための苦しみの期間を経ないかぎり治りません。どのような治療を受けても、決して完治することはありません。

カルマと寿命

一人一人の人間の“寿命”は、生まれつきおおよそ決まっています。人間は「霊的成長」をなすために地上に生まれてきたのであり、「霊的成長」が地上人生の目的です。それゆえ肉体の寿命(肉体を持って地上で生きる期間)は、霊的成長に合わせて摂理の働きによって決められています。

肉体は、霊的成長のために神によって与えられた地上生活における道具です。地上での役目を果たした肉体は、老衰という形で“自然死”を迎えるようになっています。神の摂理に調和し、自然界と一体化した地上人生を送るなら、与えられた肉体の寿命を全うすることができます。熟した果実が樹から落ちるように、肉体も最後には自然な形で死を迎えるようになっているのです。

ところが大半の人間は、摂理に反した生き方によって「カルマ」をつくり出しています。そのため肉体の寿命を全うすることができず、しかもその死に方は苦痛をともなう不自然なものとなっています。多くの人々が、本来は味わう必要のない苦しみの中で地上人生を終えています。