(4)スピリチュアル・ヒーリングの問題点

ニセ・ヒーラーによる詐欺と、悪質なヒーラー養成セミナー

ヒーラーの詐欺行為

スピリチュアル・ヒーリングに関する問題とは、“ニセ・ヒーラーの存在”という一言で言い尽くされます。スピリチュアル・ヒーリングが特殊な治療法であることが世間に知られるようになると、病気に苦しむ多くの人々がヒーラーのもとに足を運ぶようになります。するとヒーラーは、さらに多くの患者を集めようと考え、姑息な手段を取るようになります。邪(よこしま)な思いが増幅し、他のヒーラーや治療師との差別化をはかるために、「自分の治療を受けると大半の病気が治る。自分のヒーリングは特別に治癒率が高い」といったウソの宣伝をするようになるのです。そうしたヒーラーの心の中にはもはや、金儲けや名声の獲得といった私利私欲しか存在しなくなります。欲望に翻弄され“カネの亡者”に成り果ててしまいます。

本来、スピリチュアル・ヒーリングを金儲けの手段とすることは間違いです。金銭を要求するヒーラー、それも多額の報酬を当然のごとく要求するヒーラーは、すべて“ニセモノ”です。ニセ・ヒーラーは、ヒーリングを金儲けの手段としか考えず、一般大衆に霊的知識がないのをいいことに平気でウソをついて騙します。そうした霊的なものを利用したウソは、大きな罪をつくり出すことになります。ニセ・ヒーラーは、霊的世界の恐ろしさを知らないために平気で人々を騙すのですが、その罪は死後、償いのための苦しみ・後悔という形で自分に降りかかってくることになります。霊界では罪の重さが実感をともなって迫ってくるため、気が狂うほどの苦痛を体験することになります。

スピリチュアリズムでは、スピリチュアル・ヒーリングを「純粋な奉仕活動」「無私無欲の利他愛の実践」と位置づけます。ヒーラーは、ヒーリングを通して利他愛実践の手本を世の中の人々に示す使命を持っているのです。

大衆の低俗な好奇心に付け込む、悪質なヒーラー養成セミナー

本物のスピリチュアル能力は、長年にわたる内面的向上の努力と、日常の厳しい自己コントロールを通して初めて獲得されるものです。本物のスピリチュアル・ヒーラーが少ないのは、そのためです。

それに反して世の中では、霊能力の開発やヒーリング能力の養成を謳ったセミナーやワークショップが至る所で開かれています。少し前には気功がブームとなり、カルチャー教室は大盛況でした。霊能力の開発やヒーリング能力の養成を掲げるセミナーの多くは、神秘的なものに対する人々の好奇心に付け込んだ悪質な商法です。世の中には、もっと人目を引くような人間になりたいという願望を持った人がいます。他人にはない特殊な能力を手に入れて注目されたいという自己顕示欲の強い人間が大勢います。

世間の“超能力ブーム”は、こうした特殊な能力を獲得したいと願う人々によってつくり出されました。超能力や霊能力に関心を持つことが悪いというわけではありませんが、問題は大半の人間が好奇心のレベル・低俗なレベルに終わっているということです。世の中には異常なほど、霊能者やヒーラーになりたいと思っている人がいます。そうした人間は、“短期間に霊能力が身につく”“簡単にヒーラーになれる”という言葉に飛びつきます。そして大衆の好奇心と欲望を利用しようとする悪質なセミナーの虜(とりこ)になってしまいます。つまらない野心を持った人間は、霊能者やヒーラー養成セミナーの“絶好のカモ”と言えます。低俗な好奇心に駆られた人間は、霊能力やヒーリング能力を身につけるためには、高額のセミナー料を払うことを厭いません。しかし結局、本物の霊能力もヒーリング能力も得られないのです。

セミナーの参加者の中には、霊的に敏感な人間(霊媒体質者)が一定の割合でいるものです。そうした人間が普段したことのない瞑想や精神統一などで意識の集中をはかると、霊的反応が現れるようになります。また誰でも一定の時間、興奮状態・極度の緊張状態の中に置かれると、日常生活では味わったことのない霊的感覚を体験するようになります。時にはオーラの中に閉じ込められていた“憑依霊”が、意識を支配して語り出すようなことも起こります。こうした初歩的な「心霊現象」が次々と現れるため、参加者はますますセミナーにのめり込むようになり、洗脳が加速することになります。そして“霊能力が開発された”“ヒーリング能力が得られた”と思い込むようになります。しかしこうした初歩的な霊的反応は、何も特別なことではありません。程度の差はあれ、誰にでも生じることなのです。そのセミナーやグループだからこそ発生するというものではありません。

一方、大半のセミナーにはさまざまなコースが設けられていて、セミナー料が違っています。高額のコースに参加すれば長時間の講習や実習を受けられ、特別な霊能力・ヒーリング能力が身につくといった説明がなされます。そしてセミナーが終わると認定書やペンダントやネックレスが与えられ、それが“神のエネルギーを受ける秘法である”などと告げられます。「霊的事実」に照らしたとき、こうしたセミナーはすべてインチキです。“霊能者になりたい”“ヒーラーになりたい”という低俗な野心・自己顕示欲を利用した人騙しにすぎません。お金をたくさん払えば霊能力がつくといった理屈は、ペテン以外の何ものでもありません。残念ながら現在、巷で見られるセミナーのほとんどがこうした悪質なものなのです。

先ほども言いましたが、「サイキック能力」は少し努力すれば簡単に発現させることができます。しかし本当の「スピリチュアル能力」や「ヒーリング能力」は、お金を払ってセミナーに参加するだけで得られるものではありません。簡単に身につけられるような能力には、何の価値もありません。それどころかそうしたセミナーに参加することで、自分の心をますます醜くし、エゴを増幅させてしまうようになります。それによって、人間にとって一番大切な「霊的成長」が妨げられるという最大の損失をこうむることになってしまいます。せっかくの地上人生を、すべてムダにしてしまうことにもなりかねません。

「ヒーラーになってカネと人気を獲得したい」というような醜い欲望に翻弄されるのは、実に愚かなことです。自分の心を貶めてまでヒーラーになる必要など、どこにもありません。古来、霊能者には人間性の劣る者・人品の卑しい者が多いと言われてきましたが、それはヒーラーについてもそのまま当てはまります。ヒーラーの問題については、本サイトの「スピリチュアル・ヒーラーについて」で取り上げています。また「スピリチュアリズム普及会」の第3ホームページ・第5部でも詳しく説明しています。)