(1)なぜ、ヒーラーは金儲けに奔走するのか?

ヒーラーの煩悩と堕落化の実態

ヒーラーも世間の人々も、ヒーリングは治療費を払って受けるのが当たり前と思っています。病気で苦しむ人が、最後の頼みの綱としてスピリチュアル・ヒーリングによる治療を望むことがあります。そうした人の多くは、「病気が治るなら、どんなに治療費が高くてもかまわない」と思っています。まして世間に名が知られているヒーラーの治療を受けられるなら、治療費が高いのは当然と考えます。

人々がそのように思っているため、ヒーラーも治療費を要求することに何の疑問も持ちません。ヒーリングを無償でするというようなことは、たまのボランティア活動はともかく、プロとして一生涯続ける立場では不可能であると考えるのです。

いきなり重大な結論を述べますが、金儲け・営利目的から出発したヒーラーは、本物のスピリチュアル・ヒーラーにはなれません。「無償の奉仕・純粋な利他愛の行為」としてヒーリングに携わるとき、霊界のスピリットの全面的な協力を得られるようになり、真のスピリチュアル・ヒーラーとして働くことが可能となるのです。高額の治療報酬を要求するヒーラーは“ニセモノ”ですただし患者がお礼として自発的に申し出たものについては、この限りではありません)。世の中の大半のヒーラーは貪欲で、金儲けに走って本来の立場を逸脱し、醜い存在に堕ちてしまっています。

ここではヒーラーや霊能者の“煩悩”と“堕落”の問題について見ていきます。

ヒーラーの“煩悩”

ヒーラーの心に渦巻く本能的快楽への渇望

霊界から見ると、地上の大半のヒーラーや霊能者は、あまりにも霊的に未熟です。そして、多くの人間的弱さと煩悩を持っています。地上のヒーラーや霊能者の95%以上はニセモノであって、霊的価値のない存在に堕ちてしまっていますが、その原因は本人自身の「霊性の低さ」と「人間性の未熟さ」にあります。その結果、彼らの心は肉体本能に支配され、この世の富や快楽の追求に翻弄されるようになっています。

「肉主霊従」から発する本能的快楽への渇望が“煩悩”の正体です。“煩悩”という言葉は古来、宗教においてしばしば用いられてきましたが、それは心が肉体本能に支配されて、神の摂理から外れた方向を志向することです。煩悩とは、本能的快楽を優先して求める心の傾向のことであり、具体的には金銭欲(物欲)・名声欲・権勢欲という、この世の富(利益)を貪り求めることを言うのです。

“煩悩まみれ”のヒーラーたち

スピリチュアル・ヒーラーになりたいと願う人間の多くが、その出発の時点で、すでに根本的な間違いを犯しています。ヒーラーや霊能者は本来、「霊界の道具」として人類の霊的成長・霊的幸福のために自らの人生を捧げようとする人間でなければなりません。当然のこととして、その行為は「無私無欲の奉仕精神・自己犠牲の精神」から出発しなければなりません。ヒーラーとは、人類に対する奉仕者以外の何ものでもない以上、常に純粋な奉仕精神に徹して、人類全体のために犠牲の道を歩んでいかなければならないのです。

ところが残念なことに、こうした崇高な志を持ってヒーラーとしての道を出発している者はほとんどいません。それどころか正反対の動機から、ヒーラーを目指しています。自称スピリチュアル・ヒーラーの多くが、自分自身の利益のため、あるいは自己の欲望を満たすためにヒーラーの道を選択しています。“金銭や名声を得たい”というエゴ的な動機から出発しているのです。

大半のヒーラーの実態は、まさに“煩悩まみれ”という一言で表現できます。多くの人間が、金銭欲や名声欲といった不純な動機から、ヒーラー・霊能者としての道を歩み出しています。

“ウソ”から始まるヒーラーの堕落人生

煩悩とは、心が本能的欲望に支配され、神の摂理に反する利己的・自己中心的な方向に走ることです。「肉主霊従」に発する醜い思いに翻弄され、本能的欲望の満足を渇望するようになることです。そうした“煩悩”に流され、実際に利己的な行為をするようになることが“堕落”です。

ヒーラーの“堕落”――すなわち利己的な不正行為は「ウソをつく」ということから始まります。ウソをついて人々を騙すところから、物欲・名声欲・権勢欲といった私利私欲の追求が徐々に具体化していきます。こうして“堕落人生・煩悩まみれ”の人生に、はまり込んでいくようになるのです。

世の中にあふれているニセ・ヒーラー

ヒーラーとしての世俗的成功は、ひとえに有名になるかどうかによって決まります。“卓越したヒーラー”“すごい霊能者”といった評判が広まるなら、労せずして「カネと名声と人々の崇拝」を手に入れることができるようになります。そして本能的快楽を心ゆくまで味わい、その喜びに酔いしれることができるようになります。まさに夢のような人生が訪れることになるのです。

このため霊能力(ヒーリング能力)のない者が、本物のヒーラーであるかのようなウソのPRをするようになります。また、ほんのわずかな霊能力しかないのに、すごい霊能力の持ち主であるかのような自己宣伝をすることになります。今の世の中には、こうした“ニセ・ヒーラー”があふれています。

エスカレートしていくヒーラーの堕落行為

“ウソは泥棒の始まり”という諺があります。これはまさに、ニセ・ヒーラーやペテン霊能者にそのまま当てはまる言葉です。ヒーラーや霊能者のウソは、堕落(不正行為・罪)の出発点です。多くのヒーラーがウソをついて人々を騙すところから、堕落の道に転落していくようになります。

霊能力がないにもかかわらず、自分は本物のヒーラーだと偽り、人々を騙して私利私欲の追求に走ります。そうした堕落行為は、時間とともにどんどんエスカレートしていきます。そしてますます本能的欲望に支配されるようになり、道徳的常識さえもすっかり捨て去って、自らの魂を“悪(低級霊)”に売り渡してしまうことになるのです。

高額の報酬が当たり前に

ヒーラーや霊能者ほど、楽をしてお金を稼ぐことができる仕事はありません。治療費をいくら引き上げてもそれを批判する人間がいないため、本人はどこまでも増長し、高額の報酬が当たり前の感覚になってしまいます。ヒーラーや霊能者は評判が広まるようになると、例外なく治療費や相談料を引き上げます。

ヒーラーや霊能者が法外な報酬を騙し取ることがしばしば社会問題となりますが、これは程度の差こそあれ、ほとんどのヒーラーや霊能者がしていることなのです。

ヒーラーの堕落に拍車をかける誘惑的環境

ヒーラーや霊能者は常に、この世の誘惑にさらされています。堕落の道に誘い込む危険と、絶えず隣り合わせにいるのです。“霊能力がある”というだけで、人々が集まってくるようになります。霊能力について何の知識もない大衆は、ヒーラーや霊能者を特別な人間であるかのように思い込み、自分に都合のいい結果を期待して寄ってきます。優れたヒーラーや霊能者なら、どんな病気でも奇跡的に治してくれる、自分の将来について良い回答を示してくれると考えて頼ってくるのです。

こうした無知な人間を騙して金銭を巻き上げるのは、いとも簡単なことです。相手が喜び安心するような適当な返事をし、相手が感激するような言葉・同情的な言葉をかければいいのです。それだけで、たちまち信奉者になってくれます。そして周りの人々に、素晴らしいヒーラー(霊能者)であると宣伝してくれるようになります。

こうした一般大衆の霊的無知と低俗な好奇心が、ヒーラーや霊能者のウソと詐欺的行為をエスカレートさせることになります。大衆が賢くて低俗な好奇心に動かされることがなければ、ニセ・ヒーラーやニセ霊能者の働き場所はなくなります。しかし現実は、無知な人々が彼らを“悪の道”へと駆り立てることになっているのです。

大衆を騙すのは、何と簡単なことか

ヒーラーや霊能者は一般大衆と接するうちに、「世の中の人間は、いかに簡単にウソを信じ込むものか」 と実感するようになります。そして「大衆を騙すのは、何と簡単なことか」と考えるようになります。

彼らの心には、徐々に邪(よこしま)な思いが膨らみ始め、ウソをつくことが常態化していきます。前世や守護霊の身元など、本当は分かりもしないことを、それらしく適当に口にするようになります。すると相手は、そのウソを鵜呑みにして、喜んで多額の報酬を支払ってくれるのです。やがて正常な感覚が麻痺し、人々を騙すことへの罪悪感が失われてしまいます。

メディアや出版社と共謀して大衆を騙す

ヒーラーや霊能者の堕落化に拍車をかけるもう一つの要因が、出版業界やテレビに代表されるメディアです。利に敏(さと)い出版業者やメディア業界の人間は、ヒーラーや霊能者を利用して利益を得ようと画策します。霊能者を広範囲に売り込むことで無知な大衆を騙せば、簡単に出版部数を増やしたり、視聴率を稼ぐことができるようになることを知っているのです。それどころか騙された購読者や視聴者が、批判者からの“反論の盾”となってくれることも計算済みです。

出版業者やテレビ関係者にとって、ヒーラーや霊能者ほど利用するのに都合がいい存在はありません。自分たちに商業的利益をもたらしてくれるなら、ヒーラーや霊能者がニセモノであろうが本物であろうが、どちらでもいいのです。言論・出版の自由をいいことに、売り上げを伸ばすこと・視聴率を上げることだけを当て込んで、無節操な行為に走っています。そこには“カネこそすべて”という金権主義しかありません。出版業者やテレビ関係者は、自分たちに利益をもたらしてくれそうなヒーラー探し・霊能者探しに血眼になっています。霊的に見れば出版社もテレビ局も、人々を意図的に騙すペテン師と大差ありません。

一方、ヒーラーや霊能者にとっては、自分の本を出版したりテレビに出演することで知名度が高まり、さらに多くの人々が自分のもとに集まるようになります。そして金銭と人気の両方を、手に入れることができるようになるのです。ニセ・ヒーラーやペテン霊能者にとって、利害を共有できる出版業者やメディア関係者は、実にありがたい存在です。こうしてニセ・ヒーラー(ニセ霊能者)のペテン的行為は、ますますエスカレートしていくことになります。