ヒーラーの声

親しくしていた一人の青年の突然の死

No.032

私はここ数年の間に、身近で大切な人を立て続けに亡くす経験をしました。いちばん最近の出来事は、夫の会社に出入りしている20代の銀行員の死です。彼はスポーツが大好きな明るい青年で、私たちにも同じ年の息子がいることもあって、とても好感を持っていました。

いつものように彼から「明日行きますから待っていてくださいね」と電話が入ると、夫は「彼が来たら何を話して笑わせようか…」と、楽しみに待っていました。ところが次の日、約束の時間をずいぶん過ぎてやって来たのは彼の上司でした。上司は突然、大粒の涙をこぼし「彼が、昨夜の会社帰りに駅のホームから転落し、電車にひかれて亡くなってしまった」と、自分が代わりに来た理由を話しました。

日頃、「人間は死んだらお終いだ」と言っていた夫でしたが、いつも笑顔で挨拶を交わし、前日には元気な明るい声で電話をしてきた彼の突然の訃報に大きなショックを受け、悲しみでがっくりと肩を落としました。若くして亡くなった彼を悼み、その後もしばらくは涙ぐんでため息ばかりつく日が続き、死という現実をなかなか受け入れることができませんでした。

そんな夫の姿を見て、私は「霊的真理」を手にしたことのありがたさを改めて実感しました。死の意味や死後の世界の事実を知っている私は、親しい人の死に直面しても決してうろたえることなく、冷静に対処することができるからです。そして霊界へ旅立つ人の導きを、背後の守護霊に祈ることができるからです。それどころか、他界して霊界で新しい生活を始める人に、祝福の言葉をかけてあげることができるのです。

私は、“死”とは悲しい出来事ではなく、地上生活での学びを終えて霊界で新たな人生を歩み出す時なのだということを、もっと多くの人に知ってほしいと思います。そして、人間がこの世に生まれてくる意味を理解してもらいたいと心の底から願います。人々が死の真実を知ることができたなら、死は不幸な出来事ではなくなるだけでなく、祝福すべきことに変わります。私はヒーラーとしての使命を果たす中で、一人でも多くの人に死の真実を伝えることができるように努力していきたいと思っています。

(岩田)